第八章 魔なる物の強襲

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~西の町 エスウト/外側~ 【シュン】 俺達がエスウトへつくと、既に巨大な竜との戦闘が始まっていた。 戦闘しているのは全帝である。 他には誰もまだ到着していないようだ。 全帝がかなり苦戦していた。まぁ、俺が昔倒した竜の方が断然強かったが……………全属性のブレスとかチートにもほどがあると思った。 仕組みは、口の中に魔方陣が仕込まれていて、任意で各属性のブレスを吐けるというものだった。 閑話休題。 今、全帝が相手している竜は見たところ火属性である。 正直に言うと、勝手に動いたらまず間違いなく全帝に攻撃が当たってしまう。 なので、動くに動けない状態だ。 それに比べて、フェンさんはさっきから氷柱を竜の頭に向けて射出していた。 空中に浮かんだ氷柱が、竜に向かって飛んでいく。が、竜の何か障壁のようなものにより、氷柱が砕けて全帝が二次被害を受けている。 その障壁の発生源は角であると分かったが、全帝とフェンさんに言葉をかけるとこっちに意識が向かってしまい、二人ともやられてしまう恐れがある。 むぅ……………正確に角さえ取れれば……… 「我が呼び掛けに今一度答えよ!<リコール/ブレイブ・ブレード>ボソッ」 【ヒュンヒュンヒュンヒュン…………ズバァ!】 空から剣が飛んできて、竜の角だけを正確に切り裂いていき、そのままどこかへ消え去った。まぁ、俺が空間をねじ曲げて、押し込んでるだけだが。 「はぁ!?何で剣が飛んでくるんだよ!」 全帝が唖然としている。が、すぐに構え直して竜と対峙する。 「ハァッ!フッ!セイッ!」 【ブシャアアアアアアア】 「え!?」 全帝が攻撃を仕掛けると、さっきまで防がれていた剣撃がまともに入るようになった。 角を破壊したお陰だろう。 この事態にはフェンさんも驚いていた。そして、しばらく考えると、一人で納得したように左手の平を右手でポンと叩いた。 「あ、そうか、あの竜の障壁の発生源は角だったんだね!でも、どこからあの剣は飛んできて、誰の物だったのかな?」 フェンさんはチラチラとこっちを見てくる。 「あはは、もしかして疑ってます?俺が何かしたんじゃないかって」 「うん、まぁ、雷属性しか使えないとか言っておきながら、普通に鋼属性使えてたし、疑うのは当たり前」 バレてた!あんなに余裕無さそうに魔物に捕まってたのに……………… 流石ギルドマスター代理…………洞察力は人一倍か。
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