第八章 魔なる物の強襲

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~西の町エスウト/外側~ 竜の目の前にいるということを忘れていた。 【ガァァァァァァァァァァァァァァァ!】 そして今、全帝が絶賛奮闘中というわけだ。 しかし、障壁が無くなったとはいえ、やはり伝説の生き物として語り継がれるだけあって、耐久力、攻撃力、精神力共に人を遥かに上回っている。 だが、全帝も負けてはおらず、圧倒的な耐久力には手数で、攻撃力には回避力で、精神力には根性で、己の持てる限りの力を発揮している。 俺はどうするべきか? 答えは、サポートに回ることだ。 「フェンさん!協力してもらえませんか?」 「ふぇ!?私でよければ!」 よし、承諾してくれたみたいだ。 「じゃあ、俺があの竜をとりあえず痺れさせるんで、あいつの手足を凍らしてください」 「別にそのくらいなら簡単ですけど、痺れさせるってどうやって?」 「こうやってですよ! 我が雷は止めるものなり、故に全てのものは足を止める。食らえ!<パラライズ・スパーク>」 さっきとまるっきり同じ詠唱で、威力と範囲を変える。 「さぁ、今です!あいつの手足を凍らさせてください。」 「凍れ!<フリーズ>!」 詠唱みじかっ! けど、竜の手足を地面に縛り付けるのは成功したようだ。 「全帝さん!やっちまってください!」 「了解!ありがとう!」 全帝は竜の方向に構え直すと、突撃した。 が、これはあまり良い策ではなかった。なぜなら、手足は固定されていても、首は動かせるからだ。 首が動かせるとどうなるのか?答えは 、ブレスの照準が出来てしまう、だ。 そんなブレスの照準を作ることができてしまう竜に正面から突っ込んだ全帝はどうなるかというと、もちろん、標的にされる。 なので俺は、ブレスよりも早く発射できる光の弾丸を竜の口に飛ばした。 そもそも、光は実体がないのだが、魔力で固めることにより、光の性質を持った魔力弾を作れるようになった。 そのおかげで、竜の口から溢れる光を押さえ込めた。 「ハァァァァァ!フッ!」 全帝が大きく跳躍し、竜を上から下へ斬り下ろす! 【ガァァァァァァァァァァァァァァァ】 まだ終わらんとばかりに竜の方も咆哮で威嚇している。 が、そんなことは意味を成さなかった。 全帝のとどめにより、竜は絶命した。
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