第九章 勇ましき者の足どり

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~東の町 スートイ/宿屋/屋根の上~ どうにかあの場を抜け出した俺は今、宿屋の屋根にいる。 仮眠をとろうとしたしたはずなのに、もうすっかり辺りは暗くなって、星が綺麗に瞬いていた。 「ふぁ~………」 欠伸まで出て来たので、ここで少し休むことにする。 目を閉じると、すぐに眠れた。 ~30分後~ なんだか、良い匂いがする。 花のような、甘い感じの……………む? 屋根なのにそんな匂いするか? 「あ、やっと起きたわね!」 起きると、ユティが居た。 「あれ?ユティだけなのか?他の皆は?」 そう、周りには誰もおらず、ユティだけが居た。 「フン!アタシだけじゃ不満なの!?」 おお!?失言だったか………… 「ウッ………蹴るのは勘弁!」 本当に痛いからな………… 「そうそう簡単には蹴らないわよ!」 およ?そうなのか…………つか何で蹴るんだろう? 「なぁ、何でユティは俺の所をそんなに蹴るんだ?」 少しスゥーハァースゥーハァーと、ユティは深呼吸してから、話し始めた。 「アタシだって、アンタと普通に話したいわよ!けど、なんか胸の奥が熱くなって、脈が早くなって、耐えきれなくて暴走しちゃうの!これって病気かな?」 う~ん…………………………? 「さぁ?とりあえず、皆には聞いたのか?」 「ううん、何か恥ずかしくて聞けなかった…………」 ユティがしゅんとしているのは珍しくて、少しドキッとした。 「まぁ、とりあえず、皆に聞いてみろよ、何かわかるかもよ?」 「うん……………」 ここでその話は途切れて、俺から今日の魔物の大量殺戮についての話をした。 ただ単純にもう少しユティと話がしたかったのかも。 後悔なんて、他人に聞いてもらっても意味ないんだけどな………… 「はぁ…………魔物の皆に悪いよなぁ…………まだ生きたかっただろうに………」 そんな愚痴を黙って聞いててくれたユティが口を開いた。 「はぁ…………アンタ底抜けのお人好しね!皆に悪いとか思ってるんだったら、いつまでもウジウジしてないで前見たらどうなの?そうしないとアンタに殺された魔物が報われないじゃない!」 確かにその通りなんだけど、 「それに、アンタが暗いとアタシまで調子狂うのよ」 ふむ………………こんな風に説教されたら、改めない訳にもいかないよな! 俺はパチンと自分の頬を叩き、気分を入れ換えた。
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