第九章 勇ましき者の足どり

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「ありがとう!なんか吹っ切れたよ!でも、何でこの場所が分かったんだ?」 【ギクリ!】 ギクリ?何の音かとユティを見てみると、少し青くなっていた。 「ほ………ほら、なんとかと煙は高いところが好きって言うじゃない!?」 う~ん………怪しい……… 「なぁ、もしかして、俺に何かした?」 「す、す、するわけないじゃない!相手はご主人様よ!?」 顔とか態度に出て分かりやすいなホント。 <解析/対象:自分> 頭のなかで術を組み立てて発動する。これが詠唱破棄の仕組みだ。 と、解析を自分にかけると、体に仕込まれていた札を発見した。 真也の体に仕込んだものと全く同じものだ。 でも、何故ユティが違う世界で俺が手に入れた術を知ってるんだ? 「なぁ、この札はどこで手に入れた?」 ユティに聞いてみると、彼女の顔がみるみるうちに赤くなっていった。 そうして、彼女は観念したように、言った。 「アンタの頭の中にあった術を少しだけ見たのよ。少し見ただけなのに頭がパンクしそうになったわ」 そっか。そうだったな。 ユティはいつも俺の中にいるんだもんな……… 俺の頭のなかを覗くのはもう懲り懲りみたいな雰囲気ではあったが、ユティには頭パンクして廃人みたいになってほしくないので、叱っておいた。 あ、そういえば、札で思い出したけど、真也は順調だろうか? 【勇者:佐藤真也の経過 使い魔とともに強くなり、魔王の城に結界を張っている、火、水、風、土の塔を踏破して、次はいよいよ魔王城かと思われたそのとき!結界がもうひとつ張られ、それに応じて塔がもう1つ出現。そこにいる魔王の側近と絶賛戦闘中。ぶっちゃけ、戦闘力足りません。】 ……………………前回もそうだったけど、あいつに仕込んだ札ぶっ壊れてんのか? っと!そんなことを考えてる場合じゃなかった!皆にこの事を知らせないと! 『おーい!皆聞こえてるか?悪いけど、また俺の親友が大ピンチなので、ちょっと行ってきます!』 何で札みると常にアイツはピンチか困ってるときなんだよ!都合がよすぎるわ! 「ってことで、じゃあ行ってくるな!」 ユティは小さな光になって俺の中へ入ってきた。 「おおう?どういうことだよ!?」 聞いてみると、ユティから念話が届いた。 『いいから連れていきなさい!』 頭の中で叫ぶのは勘弁してもらいたいので、一緒に連れていくことにする。
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