第1音

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よくドラマや小説に出てくるような『屋上』なんてのはなく、いかにも青春!なんてのはあり得ない。 むしろ私は屋上があったとしても、絶対にそこに足を運ぶことはないと思うけど。 いつもの軽やかな足取りで向かう場所は、体育倉庫の屋根の上。 ちょうどこの時間帯になると体育館の影が重なり、とても涼しい。 普通の生徒じゃ一切目もくれないこの場所が、私のお気に入り。 結構な高さがあるのを、助走をつけて壁に足をつければそのまま腕の力だけで登れるようにまでなった。 誰もいないからスカートをはいてることなんて気にしない。 「ふぅー。今日も最高だ」 大人数で過ごす時間も好きだけど1人の時間だって私は大切にしてる。 ちょっと冷んやりしているコンクリートに寝そべり、ちょっと目を細めて青空行く雲を観察。 それに満足したら、ゆっくりと瞼を閉じた。 風の音。鳥の鳴き声。 草木が揺れる音。 どこからか聞こえる笑い声。 いろんな音が溢れているこの世界に耳を澄ませていたとき、 上からポロン、とよく知っている音が降ってきた。
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