第1音

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野球部の熱気のあるかけ声が聞こえ始めたころ、私は1人、教室で今日の課題を終わらせていた。 イツメンの3人はそれぞれ部活に向かったが、私は青空部に属している。 え?青空部が分からない? はぁー……ダメだなぁ。 これはれっきとした若者言葉で、青空の下帰る、つまり帰宅部の現代版に決まってるじゃん! 帰宅部っていうより青空部のがかわいいでしょ。 「誰と話してんだ貴様」 「うわっ!」 突如現れたのは、同じく青空部の仲間である大高翔貴(オオタカショウキ)。 182もある身長にさっぱりした黒髪とは反対に、パンダのようなタレ目をしている。 ……あ、こいつに見下ろされていると気分悪っ! 「いきなり現れたかと思えばこのワタクシを貴様扱いとは……殺られたいのかな?」 「はっ!貴様は貴様の分際で十分だ。ヤるならいいけど?」 「だーれがてめぇなんかに純粋な私の心を汚させるか!」 「え、純粋の意味も分かってないのか?さすがだ…」 「がー!もうっうるさいなぁ」 会えば必ず始まるいつものやり取り。 そしていつも私が負けるんだ。 「さっ!帰らなきゃ!」 机に散らばっていた教科書やらペンやらをかき集め、鞄の中に放り込む。 それを大高がじーっと見ていることに気付き、頭を上げた。
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