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「おはよー」
いつも通りの校門をくぐり、友人らといつもの挨拶を交わす。
この春から無事進級し、高2になったためまだ制服が初々しい新1年生を見かけては自ら声をかけていた。
「お、おはようございますっ」
ビックリしながらもしっかり返事を返してくれる子もいれば、頭をちょこっと下げるだけの子もいた。
その様子を見ながら春の穏やかな陽射しのせいか、
また新しい音が浮かぶ。
登校して早々、既に頭の中では家に帰ってから何をやろうか、そんな計画が立て始められている。
ふっ、と音楽のことを考えるだけで表情が緩んでしまうのを隠すこともせず、昇降口までたどり着くと。
「悠!おはよう」
背中に突然の重みを感じ、履き替えようとしていたシューズを取り損ねた。
「はよー」
高校での一番の親友、青田愛花(アオタマナカ)の私より一回り大きい姿を視界に捉え、だるさ満開で挨拶を返した。
「相変わらずだわー。ってかあんた、さっきまで周りから超見られてたんだけど」
「えー。そんなん知らんよ。ってか早くしないとまだ課題終わってないからヤバいって」
一刻も早く課題を隣の席の秀才くんにやってもらわなければいけない。
愛花の腕を引っ張り、急かすように前に進んだ。
「ほんっと、悠って変わってるよねー。あんた、顔だけならモテるんだからその性格何とかしろよ」
「てめぇに言われたくないわ!」
いつものだる絡みをしながら、私たちのクラス2年B組に向かった。
今日も私の大嫌いな授業が始まる。
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