第1音

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人だかりになっている小さな購買で梅おにぎりを買って、自動販売機でいつものポケモンコーヒー牛乳のボタンを押した。 今日もいつもの時間が過ぎようとしている。 「ほんっと、あいつの頭どうにかなんないかね」 「だよねだよね!毛薄いくせにふっさふっさしててキモいんだけどぉー」 「笑いこらえるのに必死で授業どころじゃないよね…」 私1人、ストローを吸いながら歩く隣でイツメンの3人は国語の教師の話題で騒いでいた。 うん、今日もうまいなぁー。イチゴミルクは甘ったるいし、ヨーグルト味はエグいし、これが一番だよね! 「ねぇちょっと悠!聞いてんの!?」 いつものコーヒー牛乳の味に満足していたのも束の間、隣から甲高い声が鼓膜を揺らした。 「悠もそう思わない?」 愛花以外の2人は何としてでもキモいことを伝えたいらしい。 「えー興味ない。あ、もう無くなっちゃった」 空になったコーヒー牛乳のパックを一生懸命縦に振るが、もう残っている様子はない。 名残惜しさを感じながらも次はゴミ箱へと直行した。 「だから言ったじゃん。悠は興味ないことにはとことん目を向けないから」 愛花が2人に苦笑しながら言っている間にも、また帰り買って飲もう、と心に決めていた。 「ま、それが悠らしいかー」 2人もやれやれと言った感じだが、私にはそんなの関係ない。 これから私は自分の世界へ飛び立たねば! 追い付いた3人にいつもの「んじゃね」を言い残し、学校で一番大好きな時間を過ごす場所へと足を向けた。
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