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時が過ぎ昼休み。この学校は給食制ではなく弁当制で何処でも食べていいと言う。皆はグループとなって食べているが生憎、俺にはそんな友達はいない。
そんなこんなで菓子パン片手に色々と歩いていた結果、赤い煉瓦の作りの建物に遭遇した。まぁ、遭遇したと言うのは嘘で実際は遠目で見て興味が湧いたから来たような物だった。
(人はいる訳ないよな……。なら、ここでゆっくり出来そうだ)
辺りを見渡し誰もいない事を確認すると、足音をたてないように中へ入っていく。
中は思っていた通り人が寄り付かなそうな廃墟のような感じだ。普通怖くて逃げ出す位に。
奥へ進むと、そこには二階へ続く階段がある少し広い場所に出る。二階にはボイラーのような機械が置いてあるが多分使われていないだろう。
ふと、視界にここにあってはならない物の一つ見えた。パソコンだ。
(何でこんな所に……って当たり前か)
そう、今日編入し見つけた廃墟には先客がいたのだ。それに随分と前に。当たり前だろう。今日編入した俺に比べ、入学式からいる連中はこんな場所を捜すには容易い事だろう。迂闊だった。
(少し位……いいよな……)
パソコンの中には何が保存されているのか気になる。こんな場所にあるんだからエロチックな動画などだろう。何分俺も男だ。そのような動画に興味はある。
俺はパソコンに近付き起動ボタンを押す。デスクトップ画面が現れるとすぐに保存してある場所のアイコンをクリックする。
そこには幾つもの動画がある。俺は勇気を振り絞り一つをクリックする。
すると、女性の映像ではなく朝日が昇り鳥達が羽ばたく映像だった。歌は何処かで聞いたことあるような………。
「エゴ……イスト……か?」
刹那、後ろから物音が響く。振り返ると、そこには俺の席の前の桜満の姿があった。
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