封印

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司会者のオーバーリアクション。女性タレントはクスクス笑いながら、そうですよね、と言葉を返す。 「でも、なぜか私の見る霊は怖くないんです。 金縛りに遭った時にも、小さい妖精が目の前を駆け回っていたり。あれは意味がわからなかったなぁ」 「それは分からないよね」 司会者は笑みを浮かべる。 「それと私、一度だけ幽体離脱を体験しているんです」 「ユウタイリダツ?」 武は敏感に反応し、さらにテレビに釘付けとなった。 「先生、ユウタイリダツとは?」 司会者が霊能者の方を向いてそう訊いた。 体中に様々な数珠をつけた霊能者が口を開いた。 「簡単に説明すると、自分の体から魂だけが抜け出してしまうと言ったら分かりやすいでしょうかね。 その魂は自由自在に動き回ることができる。 それが、幽体離脱と言うものです。それは夢なんだと言う人もいるようですが、私はそうだとは思いません」 司会者がなるほどなるほどと頷いた。
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