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そこらじゅうで光る色とりどりのLEDランプは、それだけで季節を感じさせる。
街路樹を囲うように光る青や赤、白。どこの店も負けじと派手な電飾の看板。
お決まりのように赤の服を着ている店員が客を店内に誘導する声が交錯する中で、「彼ら」はまるでお見合いのように俯いたまま、向かい合って立っていた。
沢山の通行人達が何事かと彼らに気を取られるが、喧騒と煌びやかさの中、一瞬で興味を失い、結果、彼らは世界から取り残されたように浮いていた。
向かい合っているのは身長の釣り合いの取れていない男女。
男の方は180センチ以上の長身で、黒のロングコートを羽織っている。
対して女の方は小柄で恐らく150センチを越えていればいい方だが、極端に身長を高く見せる白のロングブーツのお陰で、正確な身長は目では測れない。
気合を入れたかのような少し派手目の純白のコートに、肩ほどまでのセミロング。
ところどころ、ぴょんぴょんと跳ねている癖っ毛は、彼女の外見を可愛いらしく感じさせる。
「あ、あのっ」
ずっと黙っていることに耐えられなくなったのか、男の方が意を決したように顔を上げた。
と、その途端に女の方は驚いたように飛び上がった。
「あの、は、はいっ!」
その上げた顔はどこか幼く、そしてかなり薄い化粧の為に素朴に見える。
だが、決して器量が悪いわけではなく、化粧次第ではかなり映える顔の造りだ。
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