電波に乗せて。

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電話を切った後、そーっと静かに葉月に首を向ける。 予想通りの、にんまりとした、にやけ顔。 あーあ…、これから尋問が始まるよ…。 「今の電話は…郡司望くんからかしら?」 何とも愉快そうに、尋問をし始める葉月。 あたしは頬を釣り上げ痙攣させ、一切質問には答えない。 「ふぅーん……。 何かありそうだね、もしかして好きになっちゃってる?」 質問には一切答えない、と決めた心が、ガラガラと崩れ落ちる。 「ばっ…違うって! 好きとかじゃない!」 「その赤面具合、もう好きって言ってるもんだから」 葉月は、冷ややかな目で、熱くなったあたしを見つめる。 あたしは頬をペタペタ触り、確認する。 ……熱い。 違う。 好きなわけじゃ、ないの。 ただ少し、気になってるだけ。
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