電波に乗せて。

11/26
前へ
/176ページ
次へ
―――――――…… 学校が終わり、家路を歩きながら携帯をいじる。 慣れた手付きで、あの番号に電話をかける。 『亜弓ちゃん?』 あたしより先に、郡司が口を開いた。 電話出るの、早すぎ。 待ち構えていたのだろうか。 「その亜弓ちゃん、いい加減ヤなんだけど……」 げんなりと不満を言ってみせると、郡司は陽気に答える。 『んー…。 んじゃ、亜弓でいい?』 亜弓、か。 名前呼びなのは変わりないんだ。 「んまぁ…いーよ。 チャン付けよりマシだし」 『で、何? 亜弓から電話って、珍しいじゃん』 そりゃあそうですとも。 ていうか、あたしから電話したの初めてだし。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加