電波に乗せて。

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「さっき電話してきたじゃん。 あたし切っちゃったから、結局何の用だったのかなー、って」 さらりと用件を伝えると、郡司は『あー、』なんて呑気に相槌を打つ。 『分かった?』 「は?何が?」 コイツは、いつも話が突飛すぎる。 だから、なかなか会話に着いていけない。 『俺が誰か、分かった?』 あ…そう言えば。 実際、全く分からなく苦戦中。 「分かんないよ。 あたしたち、お互いの顔も知らないじゃん」 ――だから、いい加減誰なのか教えてよ。 そう言おうと息を吸った瞬間、郡司の声と被れる。 『ヒントね』 早く知りたい。 アイツを知って、実物を早く見たかった。 何で、あたしは見知らない誰かにこんなに一生懸命になってるのだろう。
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