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『俺とあんたは、会ったことがある』
「っ…え!?」
『じゃあね』
虚しく、通話音が鼓膜を震わす。
逃げた。
まだ聞きたいこと、いっぱいあったのに。
「……会ったことが、ある…?」
無意識に復唱してしまうくらい、信じられなかった。
ずっとずっと、あたしたちはお互い、見知らない誰かかと思ってた。
それがまさか、お互い顔見知りだなんて。
――いつ会った?
――どこで会った?
どんなに記憶を遡っても、思い当たる節はない。
声だけが頼り。
……でも、その声だって聞き覚えがない。
どうすれば、アイツは見つかる?
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