電波に乗せて。

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昼休み。 いつも通り、葉月と何やかんや言ってると、携帯が机の上、大きく振動する。 「うおっ」 「あんたさぁ、その色気のなさ、少しは直しなよ……」 「いーの、諦めてることだから。 ……もしもーし」 考え無しに出ると、『亜弓?』なんて、軽はずみな声が電話口から通る。 「えっ、郡司!?」 つい大声をあげてしまった。 目の前にいる葉月を、そろり、と忍び足で見ると、にんまりとしていた。 いつかの繰り返しだ、これじゃ。 「な、なに?どうしたの?」 『んー? 何か声聞きたくなって』 軽々しく言ってるけど、とんでもない爆弾発言してるって、気付いてない? 電話でよかった。 直接会ったらきっと、蒸気した頬を、からかわれるに決まってる。
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