電波に乗せて。

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『あー、もしもし? 今から俺んち来いよ』 聞こえたのは、弾けるほどの明るい声。 ていうか、……はい? 一体、コイツは、何者で何様なんだ? 「あ、あのー。 間違ってないですか、番号」 やや遠慮がちに訊く。 一応、初対面だし…いや、直接会ったわけじゃないけど。 『え、マジ? つかあんた誰?』 こっちのセリフだコノヤロー。 電話じゃなかったら、弁慶の泣き所蹴ってただろうな。 …やっぱ間違い電話なんじゃん。 出て損した。早く切ろ。 「んじゃ、切るんでっ!」 と、電源ボタンに触れたところ、 『あっ、ねぇ。あんたの名前、何て言うの?』 「は?」 別に、もう二度と会わないんだから…いや、一度も会ってないけれども。 名前なんて訊いても、仕方なくない? でも何故かまた、自然と口は動いていた。
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