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「ねぇ郡司」
『……』
返答はなし。
だけど、それに構わずあたしは続けた。
「あんたは、誰なの?
何歳なのか、何なのか全然分かんない」
何で…ただ、間違えただけじゃん。
きっと、郡司が間違わなきゃ、あたしたちは知らないままだった。
いや、知らないのは、今も変わらないけど。
『知りたい?
俺に興味湧いてきた?』
計算尽くしの疑問系に、瞬時に頬は熱くなる。
「ちっ…違うっ!
全然そんなんじゃない!」
そして気付く。
上手く躱された。
『ははっ、残念。
知りたいときが来たなら、あんたが俺を見つけて』
「んなっ……!」
『んじゃーね、また明日』
一方的に電話を掛けられ、一方的に電話を切られる。
そしてまた、一方的に始まるのだろう。
――俺を見つけて――
縋るような、弱々しい声に、あたしは暫く考え込んだ。
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