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ほっ、と一息を吐くと同時に、鳴りはじめた携帯。
携帯を開くと、番号が一列示しだされている。
……郡司望、だ。
あたしはひとまず通話ボタンを押して、応答する。
「……もしもし」
『ふ…おはよ。
電話すんのだいぶ遅れた』
欠伸しながら電話しなくても。
眠いなら寝ればいーのに。
「今、友達と一緒なんだけど」
迷惑たっぷりの声色で、郡司に返す。
郡司は、ははっ、と笑う。
想像だと、そこには白い歯を覗かせながら。
『友達に言ってなかったの?俺のこと。
それとも、内緒にしたかった?』
また挑発的に、あたしを惑わそうとする。
理解しつつ、あたしはまた填まってしまう。
「ち…、がうしっ。
もー切るからっ!」
唯一の逃げ道。
必殺、電話を切る。
電話って、都合がいい。
触れてほしくなければ、触れさせないことが、出来るんだから。
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