眠りからの覚醒

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―・・・ 真夜中の教会裏の墓地にて、いかにも怪しげな薄汚い男が二人。なにやら急いで地面を掘り返しているようだ。 「へへ・・・急げよ。お天道さんがのぼる前に掘り出さねぇと村の連中に気付かれちまう。」 無精髭を生やした太り気味の中年男が、スコップを片手に辺りを警戒しながら語る。 どうやらこの男達は外部の人間らしい。 「本当によぉ。こんなチンケな場所に『あの』伯爵様が埋まってるのかねぇ?」 もう一人の男、大柄だが気弱そうな若い男はスコップで土を掘り返しながら不安げに言う。 「普通ならよぉ、そんなお偉いさんの墓なら怖い地下墓地や立派な霊廟とかにあるもんなんじゃねぇの?」 「ハッ!全くお利口さんよ。てめーは馬鹿だ。」 若い男に呆れたように皮肉めいた言葉を吐く。若い男は不満ありげな表情をしたが、構わず中年男は続ける。 「その方があちらさんにとって好都合だろうが。いかにも『財宝あります。』みたいな場所より 、こういった共同墓地に埋めといたほうが俺たちみたいな金銭目的の輩に盗掘されないで済むだろ?」 「すげー。頭いいな!」 中年男の明解な答えに素直に感心する若い男。中年男も満更でもない様子で話を続ける。 「それに俺の情報に偽りなんぞねぇ。伯爵がいた時代、この村は悪性の流行り病で村全体が壊滅しかけたんだと。そんときに伯爵もおっ死んじまったんもんで、感染を恐れて仕方なく土に埋めたらしいんだ」 「へーそりゃ気の毒に。って今からそこ掘り返すのか!?」 「当たり前だろ?」 「だって死者の呪いとか感染とかあるかも・・・」 なかなか掘り返す決意の固まらない若い男に業を煮やしたのか、中年男は若い男の頭をポカッと叩いた。 「伯爵が死んだのは大昔だバカ!それに呪いが怖くて墓泥棒が務まるか!」 「た、たしかに」 中年男は更に続ける 「いいか?かつて中世の時代に戦績をあげて以来、この地を支配していた大貴族・・・その最後の伯爵の墓だぞ?とんでもねぇ価値のある豪華な埋葬品も一緒に収められてるはずだ。そいつを掘り出せば俺たちゃあ・・・たちまち大金持ちだ!こんな風に泥まみれにならなくて済むんだよっ」 中年の男はそう諭すように言い聞かせながら、再び若い男の頭をげんこつでポカッと叩いた。
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