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どうやらこの男達は墓荒らしで、なんとあの伯爵の墓を掘り返そうとしているらしいのだ。
「じゃあ、アンタも手ぇ動かしてくれ・・・」
ガツッ
「お?」
若い方の墓荒らしが文句を言いかけた時だった。土の中に確かな手応えを感じたらしく、二人の墓荒らしは顔を見合わせる。
「きたか?」
「ああ。」
二人は確認し合うと、死に物狂いで伯爵の棺があるであろう土の下を掘り始めた。
さほどして、棺が姿を現す。
「ほお・・・さすが伯爵サマの棺は違うぜ。使われた木材もなかなかの上等モンだな。ぐへへ」
欲望にまみれた下品な笑い声をあげながら、中年の墓荒らしは装飾が施された棺を撫で回す。
「ん、なんで鎖が巻いてあるんだ?」
中年の墓荒らしが棺の装飾と思っていたのは棺に巻かれた銀色の鎖だった。それだけではない。大小様々な十字架が棺と共に鎖で厳重に巻きつかれていた。
「封印されてるみてぇ」
「馬鹿いうな」
若い墓荒らしの言葉をものともせず、中年の墓荒らしは鎖や十字架を外していく。『これは売れるな』と金属で出来た物はしっかり選別しているようだ。
「けどよ、やっぱ伯爵はミイラになってるよな?見るの怖いな俺・・・」
若い墓荒らしは中年の墓荒らしの背後から怖ず怖ずと棺を見やる。
「まぁ百年は経ってるからな。」
中年の墓荒らしはそんなことは気にもせず、手際良く棺の鎖を外していく。
それから五分と経たないうちに全ての鎖と十字架を取り終えて、後は棺を開けるだけとなった。
「なぁ。やっぱり開けるのやめないか?骸骨見るのはヤなんだよぉ」
「ああ?オマエ今後に及んでなにいってんだ。さっさとあけろ腰抜け!ボケナス!アンポンタン!」
中年の墓荒らしに更に頭をポカッと叩かれて、若い方の墓荒らしは渋々蓋に手をかける。
すると・・・
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