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孤児院の為の衣服の仕分けを手伝ったり、ホットミルクを飲みながら、聖書のお話を聞いたり…と、神の衣に包まれるような時間を過ごした。
男の子は、変わっていった。癇癪を起こすこともなく、皆から一人離れた場所で静かに絵本を読んだり、お絵かきをしたり、居眠りをしたり…。
シスターの優しさに悲しみを埋めたのか…、
マリア像に母の姿を求めたのか…、
男の子は静かに、神の膝枕で眠るように日々を過ごした。
しかしそれは、一瞬の夢だったのかもしれない。
男の子の傷ついた身体も、哀しみの心も、絶望という現実の淵から誰も救うことが出来なかったのかもしれない。
…たとえ、神が手を伸ばしたとしても。
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