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「あのねぇ、僕たちって瓶集めするでしょ」
「あぁ、集めて小遣い稼ぎになるしね」兄は頷く。
「そん時も、僕とさとる君、そして英継君できれいな瓶を集めていたんだ」僕は兄のポケットの中で、悴んだ指をぽこぽこ動かしてハァーッと息を吐く。
「まさ、それで?」兄が即す。
「うん。そこに三大小学校の悪者二人がやって来てさぁ・・・運悪く、さとる君が捕まっちゃってさぁ〈集めた瓶よこせよ!金も出せよ!〉って脅されて、泣いちゃったんだ」
「・・・それで?」
兄は振り返りききかえす。
「でね、近くにいた僕のことも睨んで〈お前も、こっちに来い!〉って呼ばれてさぁ・・・怖くて、言葉も出ないままガクガク震えいたんだ・・・」
「それで?それで?」兄が、急に自転車のブレーキを踏み込む。
「うん、そしたら『さとるを離せ!』って、英継君が瓶の山をだぁー!って勢い良く走って来て、いつも隠し持っているこんくらいの棒磁石で、」自転車のハンドルを握る兄の背中越しに、両手で30センチメートル位の空間を作る。
「で、いきなり、さとる君の胸ぐらを掴んでいるヤツの頭を殴ったんだ!」僕はあの時を思い出して興奮してきた。
「うん、それで?」
兄も僕を振り向いたまま運転しているので、、自転車のスピードはゆるゆるで自転車はグラグラふらめいている。
「・・・一瞬だったよ!そいつの野球帽が飛んで〈ギャーッ〉って、頭を押さえながらしゃがんで泣き出したんだ!」
「でね!でね!そいつのおでこから、血が流れだしていて、もう一人の仲間はびっくりした顔をして、呆然としていたんだ!」
僕の口調も興奮状態になってきている。
「で、英継君は悪い仲間に近づいて仁王立ちして、『今度は、お前ん家に行って、暴れるやるぞ!』って怒鳴り付けたんだ!」
「それで?それで?」兄も大興奮で聞きかえす。
「うん、そいつも『ごめんなさい、ごめんなさい。家に来ないでください』って、その場にしゃがみ込んで、うぇ~ん、うぇ~んって泣き出して…」僕の話に力が入っていく。「へぇ、スゴいな!相手は小学校の2、3年生なんだろ?」
「うん、兄ちゃんより大きかったよ」
僕は、なんか自分自身の事のように自慢げに鼻を啜った。
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