【1】終わりと始まりと

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目覚めるとそこは白い世界だった 私は直感的にそこが光の中だと気付いた …ただ他に表現が思い付かなかっただけで、事実ここがどういう場所かは明確に表現できないだけなのだが ???「ここは…」 私はまだ状況が読み込めなかったが、取り敢えず立ち上がった だが上下左右が白一色の世界だったため、本当は宙を浮いているだけなのかも知れない 否、そんなことはどうでもいい そんなことより私が一番理解できないことがあった… それは――― ???「私は…だれなんだ?」 私は自分の名前がなんであったか全く思い出せなかった まるで最初から名前が存在しなかったかのように、記憶の中から名前だけがスッポリと抜け落ちていたのだ 記憶喪失とでもいうのだろうが、自分のことが分からないというのがこんなにも不安なこととは思いもしなかった ましてや周りは見たこともない白一色で覆われた幻想的ともいえる異様な光景で あたりには自分以外の誰も見当たらないとなれば、その恐怖は通常の記憶喪失なんかとは比べ物にならないだろう
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