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藤丸の答えに信長がニヤリと笑った。
や…ヤバい!!!何がヤバいのか、わからないけど何かヤバい!!!
わけのわからない恐怖に震える私に、信長が言った。
「どうじゃ、ここらで一つ手合わせをせぬか?」
「久遠様!名を売る良い機会ですよ!」
信長の提案に藤丸が目を輝かせて言う。何でこんなにノリノリなんだ…。
私は、苦笑いして答えた。
「俺は、親父の代わりに京に向かってるだけで、別に名を売りたいわけじゃない…。今は、とにかく京都に行こうよ?怪我して京都に行けなくなったら、意味が無いじゃないか」
そう言って同意を求めるように信長を見ると、鼻で笑われた。
「腰抜け」
「は?」
突然の信長の言葉に呆然とする。
すると、信長が再度バカにしたように笑った。
「お前は、腰抜けだ。こんな腰抜けのガキに己の代わりを任せるとは…お主の親父は、相当の腰抜けだな」
「……」
信長の言葉に、カァッと頭に血が上るのを感じた。
確かに私は、腰抜けだろう。信長の誘いに乗るような好戦的な性格ではない。
しかし、親父は違う。畑仕事が大好き過ぎて国の主としてはダメかもしれないが、腰抜けなんかじゃない。
「…俺たち親子が、本当に腰抜けかどうか…試してみるか?」
私は、信長と真っ正面に向かい合った。
「やるのか?」
「あぁ。もし俺が勝ったら…さっきの言葉、撤回しろ」
「良いだろう」
信長が刀を抜いた。
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