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あいつに生まれて初めて美人だと言われ。
生まれて初めて私の呪術が綺麗だと言った。
「本当に、いいんだな?みんなから蔑まれ、軽蔑され、根絶やしにされそうな呪術だぞ?」
「問題ありませんよ」
「うぐぅぅ………くそっ!だったらもう知らないぞ!いいんだな?ならばお前は今日から弟子だ!私の生まれて初めての弟子だからなっ!」
こいつは私の初めてをどこまでかっさらう気なのだろうか……
いや、別にまだそんなラインの『初めて』まで踏み込んではないぞ!
ま、まぁ別にまんざらではないがな、うん。
とにかくあいつは『あいつ』から『弟子』になった。
「いいか?呪術と言うものが魔術や祝音と違うのはその崇め信じる対象がそもそも違う。呪術は何よりも人の原子である炎を畏れるのであってだな……」
「……………」
「おい!馬鹿弟子!話を聞いているのか?ボーッとしおって!」
「いや、聞いてますって!ただ師匠の話は難しいんですよ!いつになったら実技にはいるんですか」
「うるさいぞ!呪術は魔法などに比べて恐ろしい術なんだぞ!使い方を間違え炎に対する畏敬を無くせばたちまち身を滅ぼすのだぞ?」
「うぅ、師匠の説教は身にこたえるんですよねー」
あいつはご覧の通りの授業態度だった。
本当に魔術を習得したのか?と疑てしまうほどである。
でも、馬鹿弟子は一所懸命に私の講義についてきた。居眠りをかまされて何度あいつを炙ったことか……
まぁ、私の馬鹿弟子は不出来ながらもなんとか発火の呪術を最初に会得した。
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