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あいつが目を覚ましたのは助けて二日目の朝だった。
話を聞けば流浪の傭兵だと言うではないか。そしてあいつはこういった。
「貴方が呪術師……ですよね?」
「だとしたらなんだ?お前の目的は私か?」
どうせ騎士団の賞金目当てなんだろう。そうならば、自分で助けといて自分で始末しなくてはならない。
そう考えた私は呪術の種に火をともし、あいつを焼き殺そうとした。
「ちょっと待ってください!僕は貴方を殺そうと考えてない!むしろ逆です!」
変わったことを言うやつだった。
「戦乱の世で生き抜くために僕は強くなる修行を積んでいた。だが、戦乱はなくなり残ったのは神官と騎士団による粛清という名の虐殺だけだ。その対象の呪術師の元にいたなら更なる戦いに巡り会える。」
つまり、ヤツはこう言いたかったようだ。
私の元で私を狙う世の中を敵に回したいと言う。
「お、お前は全てを敵に回したいと?バカか?」
「ええ、そう言われましょうね。でも、助かるのは貴方も同じでしょう?」
確かにそうだ、腕の立つ傭兵だと言うことは目つきやあいつの持っている得物を見ればわかる。
結局、私は押されるままにあいつを雇った。
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