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「行くぞ、火燕(ひえん)…ぼーるがるのブースト、[神速の騎士ガラハット]でアタックだ!」
切れ目の黒髪の青年が静かに宣言し、カードをレストした。
「参ったな…ノーガードだ、来いよ雷斬っ!」
真っ直ぐな瞳をした赤髪の青年は堂々とそう宣言し、デッキの一番上のカードめくり公開をした。
「クソッ…トリガーはなしだ」
そうして、そのカードを横に五枚並んだカードを同じように並べた。
ファイターの方なら分かるだろうがこの時、ヒールトリガーというカードが出るとダメージが回復しチャンスを得ることができる。
「10戦全勝、火燕くーんリベンジはいつになるんですか?」
クリクリの目をした栗色の髪の青年が冷やかすように言った。
「うう…もう一戦だ、雷斬!次こそ勝ってみせる!!」
高らかな宣言と共に赤髪の指を突き出したその時だった。
「おい、爺さんその幻のレアカードを売りあがれ!」
若い銀髪の若者がカウンターから身を乗り出して店員の老人に食い掛かろうとしているのだ。
だが老人は表情を変えなかった。
「すまんな、その[ブラスター・ブレード]は大事な人から譲り受けたものなんじゃ」
そういって、老人は懐かしいものを見るようにショーケースに入った
[ブラスター・ブレード]を見た。
「なら、ファイトだ!俺が勝ったらそいつをよこせっ!」
そんな老人を気にも止めず若者は続けた。
そこへ、火燕と呼ばれていた赤髪の青年が割って入り掴みかかった。
「おい、てめぇ随分無茶苦茶を言いあがるじゃねぇかっ!」
一触即発の状態の中、老人が口を開いた。
「良いでしょう、その話受けましょう」
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