第1章 プロローグ

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「お目覚めですか?」 目の前に大きな椅子に座っている老人が話しかけてきた。 背は低く、鼻が長く尖っている。何より、眼が大きくギョロッとしているのが印象的だ。 「改めまして、ようこそ。"ベルべット・ルーム"へ。」 老人は、不気味な笑顔で両手を広げ言った。 部屋をよく見たら、そこは青を基調としたモダンな造りのバーだった。ジャズが、聴こえる。 「私は、"イゴール"と申します。」 老人 イゴールは、右手を胸に添えて頭を下げた。 「あちらで、ピアノを奏でているのは"ブース"。」 後ろを振り返ると、ピアノを弾いている美女が頭を下げ挨拶をした。 美女 ブースは青いドレスを着て肌が白かった。 「さて、お客様。本題に入りましょう。お客様は、これから大きな運命に巻き込まれるでしょう。」 イゴールは、こちらを見て顎を両手に乗せて言った。 「しかし、お客様にはその運命に立ち向かう力があります。」 イゴールは言葉を続ける。 「お客様は、既にペルソナの力を使っているようですな。」 イゴールは、わぞとらしく言った。 「しかし、あなた様にはまだ2つ力が隠されています。ひとつは、他者と絆を築き力を得る"ワイルド"。もうひとつは・・・。」 ジャズの演奏が止まった。 「もうひとつは、他者を解放する力"フリーダム"です。」 イゴールの言葉をブースが引き継ぎ言った。 「"フリーダム"は、とても危険な力。使い方に気をつけて下さい。でないと、あなたの脅威になって襲いかかって来ます。」 ブースは、言い終わるとまたピアノを弾きだした。 「私たちが、運命に立ち向かうあなたをサポートしましょう。そして、あなた様が運命に勝ちあの扉を開けられる事を祈っています。」 イゴールは、奥の黒い扉を指差した。 「では、また会う日まで。」 視界が、暗くなっていった。 だが、不思議と恐怖は無かった。
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