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「ねぇ、愛してる?」
いつものように耳元で囁く声。
「君はどんな返事が欲しいの?」
返事をはぐらかす俺。
本当は傷付きたくないからわざとはぐらかしているんだよ。
「・・・・・・・・・・・うん、返事はいらない」
乱れたシーツの上でそっと抱き寄せ、今度は俺から囁いた。
「嘘つき」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俯くなんてずるいね。
だから返事はいつまでたっても同じなんだ。
それがわかっているからこうして二人でいる時は、時間を惜しむようにして・・・・・・・・・・・・・
「ずっと言えなかったけど、明日・・・・・・」
「明日?」
「・・・・・・・・・・・・明日、婚約パーティーが」
「へぇ、おめでとう」
「だって、貴方との未来は無いでしょ?求めても無駄でしょ?」
「それを決めるのは君だよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「逃げているのは君・・・・・俺は遊びなら遊びのままで終わらせてもいい」
「うたかたの恋ってやつ?」
「かもね・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
親の言いなりになって婚約か。
そのまま愛してもいない人と幸せな家庭を演じる訳ね。
泡沫・・・・・・・
確かにそうだ。
泡のように消えてしまうような恋。
それでも俺は君の事が・・・・・
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