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君の婚約者なんて興味はないんだ。
そんな瞳で見つめられても俺には隣で視線をそらす君しか見えていないんだから。
「ねぇねぇ、あの歌手の人ってずっと貴方達を見ているわね」
「そんな事はないわよ」
「見てるわよ、ほら今も」
「どうしよう・・・・・・ホントに見つめられてる」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あっ、終わったみたい・・・・・ステージからこっちに向かってきたわよ」
「ど、どうしよう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
うたかたの恋ではない証拠を見せてよ。
俺の気持ちは今伝えたはずだよ。
全て歌にして君に伝えた。
ステージから降りて、何事も無かったかのように君達の横をすり抜けながら、俺は君の指に自分の指を絡めた。
ほんの一瞬、体温は伝わらないけど、気持ちは伝えたから。
「えっ?」
「嘘・・・・・・・・どう言うこと?」
婚約者が驚いているね。
さぁ、君はどうするの?
泡沫の恋で終わらせるの?
それとも覚悟を決めて俺の胸に飛び込んで来る?
もし飛び込んで来たら一番聞きたかった言葉を伝えるよ。
そしてそのまま歩き出し、会場を出た。
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