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「愛してる?」
昨夜と同じように君が耳元で囁いた。
「愛してるよ」
俺は君の求めていた言葉で答えて抱きしめた。
これから先の事なんてわからないし、今は考えたくはない。
今は、恋人になった君を抱きしめていたいと思った。
「あの時・・・・・指が触れた瞬間、僕の中の何かが壊れたみたいだ」
「それでいいさ、モラルなんて俺達には必要のないものなんだ・・・・・君から飛び込んで来なければ、この恋は泡沫の恋で終わっていたから」
「意地悪」
「君は嘘つき」
「今は違う」
「そうだね・・・・・・今夜はどんな風に愛して欲しい?君の婚約者も可愛い人だったけど、君の方が綺麗だった」
「恥かしいからもうやめて」
そう言ってまた俯いた君は、本当に綺麗だった。
「もう離さない」
耳元で囁きながら髪を撫でた。
俺の張り巡らせていた蜘蛛の糸にかかったのは君。
でもいつしか俺も糸の中でもがいている君を見ているうちに自分の糸に絡み付いていたんだね。
最初は大人のゲームだった。
でも、気付いたら本気になっている自分がいた。
だから本心が知りたかった。
だから奪い取りたかった。
「後悔してる?」
「していないよ、貴方がいるから」
「俺も」
綺麗な部屋の中に張り巡らされた蜘蛛の糸はとても不自然に揺れていた。
でも、その不自然な糸は俺達を結びつける赤い糸だった。
もう逃がさない・・・・・・
永遠にね・・・・・・・
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