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桜が舞い散る中学の校庭の裏庭。
アタシは悠哉に呼び出され、芝生に座って悠哉を待っていた。
風に吹かれて舞ってくる桜の花びら。暖かくなった、春の風。
春菜が高校に進学し、いつもの3人の登校が悠哉とアタシのふたりきりになった。
そして、自然と春菜と悠哉の距離が離れた。
アタシにとって、今までとは違う幸せな春の訪れだったの。
だけどアタシは悠哉に恋した日からずっと、漠然とした不安を消せずにいた。
ーー悠哉は春菜を好きなんぢゃないかな?
間違ってると思いたいけど、長年一緒にいるアタシの消せない勘。
しばらく待ち続けると、遠くに悠哉の姿が見えてきた。
茶色い髪がサラサラ風に揺れて、少しウザそうに髪を払っている。
悠哉は3年になってすぐ、髪を茶色に染めた。
その髪色が似合っていて、アタシは余計に悠哉を好きになった。
アタシを見つけ、悠哉は走ってきた。そして、隣に座る。
「待たせてごめん!」
「どしたの?」
「いきなりだけど、彼氏とか好きな男とかいる?」
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