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「あら?ジャポネーゼ君?」
「ん?……おぅ姉ちゃん!!今日は危ねぇって!!早退しろ早退!!」
桜蘭通りの毒々しいピンクや紫のネオン輝く時間、いつもなら人通りはもう少し多い
だが今夜は客足の代わりに明らかに別な獲物を狙う男達が路地裏に潜み息を殺す
よって客を取る女達は暇を持て余し、イベントの動向をディスプレイで伺い、街の顔達の活躍に一喜一憂していた
「大丈夫よぉ、実弾はあんまり使って無いって聞いたし……お腹壊す心配も無い、ね」
恵まれたプロポーションを誇示するのが手段の筈が、彼女はお腹を隠す服を摘むとどうだと言わんばかりに笑ってみせた
雀と会えば軽く会話を交わす仲になった街角に立つ女
肌の露出が売上に多少ならずとも貢献する筈だが
この女は他の数人と違い露出は少なくお腹が隠れる服を着ていた
世間知らずの子供の注意が、彼女の中で何らかの化学反応を起こしてしまい心に残留しているのかもしれない
「マジで?聞いてねぇな……ゴム弾とか支給してんの?」
「倉庫街で安売りしてるらしいわよ?そんな事じゃダメじゃないジャポネーゼ君~、君に賭けてんだよ私、1万ギド、1点買い……超大穴」
「金捨てんなお姉ちゃん!!もっと安定した買い方しなさいよ!!ジョナとかアーティさんとか!!」
「あの2人は人気者だからねー、この辺りだと……でも私は君を応援したいのさジャポネーゼ君、ウフフフ……だからあんまり有名になって欲しくないんだけど……さっき、みんな可愛いって言ってたよ……ただその格好じゃなければもっとポイント高いかもね」
女はクスクス笑い雀の服装を指差し、雀も今の格好を思い出すと近くのガラス戸に映る自分を見て溜め息を尽く
「部屋帰って着替えるわ俺、ピヨ子タイム終了……よくこんなに格好でパチ屋に行けたモンだよ」
「部屋?近いの?」
「ゼノ・エルドの3丁目だよ、汚ねぇしワンルーム?エレベーター無ぇの」
「汚いかどうかは住んでる君のアレじゃないのぉ?…………んー……部屋、近いわね……トイレ、貸してくれない?それに見てみたいし、どれくらい汚いのかなぁ」
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