BRAND NEW LOVER

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ピッと携帯を切ると、まだボーっと突っ立てるリコリッタにナオのコメカミがピクリ 「いい行ってくるでありんす!!」 「主はいちいち反応が遅い!!言われる前に動きんさい!!主は亀か!!さっさと行きんさい!!」 一目散に走り出すリコリッタ なんだかエラい事になったと思いながらも取り敢えずゼノ・エルド通りを目指し 徐々にコレはやはり現実で、煙管で叩かれた痛みからでは無いが涙が流れ 叫び出したい気分だった もう見ず知らずの客に怯えながらも愛想を振りまき体を許す必要だけは無くなったのだから それより辛いモノがあろうか? リコリッタは考えたが他に何も浮かばず、修行と云う物が何であれやり抜けると確信した この世で最も辛い仕事をを乗り越えてきたのだ、何だって出来る筈だと そう考えた瞬間、息を飲む なぜ今までそう思わなかったか、そのように考えられなかったかと 「私って本当にバカ」 ナオの術中にハマり、ようやく気がついた自分は本当にバカで、きっとナオが教えてくれるまで永遠に気付かなかっただろう、本当に簡単な事を そして、何故ナオがあんな回りくどい真似をしたのか もしかしてナオはリコリッタに自分で気がついて欲しいと思ったのではないか? それでもバカだから最後まで気がつかず、ナオはリコリッタを買い取る以外の手段が無くなってしまったのではないかと 「アハハハハ……生きるの死ぬのとか、負い目とかバカみたい……私は大変な仕事をしてたんだ、1個しか無い体を売る、誰にでも出来る事じゃないわ……悲劇のヒロイン死亡!!……胸を張れリコリッタ・リコリス!!頑張れ私!!必ず応えよう!!この恩に!!80億だろうが100億だろうが稼いでやるわよ!!」 ゼノ・エルド通りを全力疾走し、嬉しそうに叫ぶ彼女を誰が夜の女だと思おうか? ポカンと彼女を見送る頭に数字を乗せた者達の中には1人も居なかった
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