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「羽根?……詩人は今夜だけ引っ込めときな……厄介事のお出ましだ……1、2……3人」
グラマラスなボディラインに似合わぬゴツいブーツが向きを変え、彼女曰わく厄介事を手厚く迎える為に銃を抜く
長い猫毛を後ろで縛り、鋭い視線はまるで野生の虎
肩から走る黒いドラゴンは彼女の野性的な美しさと上手く共存している
「厄介事はお前だヴァネッサ……殺る必要が無ぇ奴は放っとけよ……【耕してまで厄介事を作るな】……金言だ、覚えとけよ」
―――――――キンッ
軽い金属音の後に、小さな炎は眼鏡の少年を照らす
少し伸びた黒髪をオールバック風に纏め、銀のフレームの眼鏡はより少年を冷たく見せる事に一役買っている
冷静沈着が売りだと言わんばかりに足音に表情を変えず、聞き耳を立て
表通りを走り去る足音を背景に煙草に火を灯すと、ゆっくり紫煙を吐き出し、近くに浮くディスプレイに吹きかけた
「だからわかんねぇんだよヒコ、なんでアタシらここでノンビリしてる……プーケットかと思ったぜ、犬の腹を枕に白いビーチでシエスタって身分じゃねぇんだよ、今夜のアタシは」
「説明はしたろ」
「学が無ぇんだコッチは……分かり易く言えよ、わかってんのか?アタシはあのオブラ・ウェンフリーみてぇなキャスパーに張り付かれてる、リーチだ、チケット持ちだぜあのタコ……ケツ出して待ってるのは性に合わねぇっつってんだろ」
「……まぁ確かに我は強いだろうが……言い得て妙って奴だな、鉄の女って事じゃオブラ・ウェンフリーもサッチャーもヌーノさんも同類か……」
「御託捻ってんじゃねぇよ……ん…………んだよヒコ、何が可笑しいんだよ?」
「いや、何でもねぇよ……結論から言えばお前、上手くすれば俺もポイントによる足切りがもしあっても助かる、足切りされるポイントがお前のポイントを下回る事は無い……狙いはヴァネッサ、お前だからな、よって、焦る必要は無い」
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