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ヒコの長台詞は彼らの表情と足をその場で固めるには十分、特に穴宮には効果的だった
中堅組のネックは詰めの甘さ
バロウもエイゼルもバンビーノも仕事を受け特に下調べはしないタイプである
せいぜい旅行雑誌に載ってるなら読む、そして穴宮に聞く、これが彼らの情報収集能力の限界
面倒な事はしたくないのだ、考えてみれば仕事を選べるギルド・ハンターは天職かもしれない
だが穴宮だけは情報収集は仕事をするにあたり当たり前の事だと思っていた
しかし、この大会中の彼はすっかり3人に流され情報収集を忘れていた
そして目の前の少年は抜かりなく情報を集め4人に囲まれ平然としている以上、対策も持っているだろう
この眼鏡の少年をナメたら負ける、そして……俺の仕事を忘れていた、情報収集は俺の役目なのに
僅かなショックを受けた穴宮、目の前の敵に対して一歩情報収集で遅れを取り、その遅れは取り戻せない
既にヒコは下ろした右手を開き、影に潜むパートナーに「待て」とサインを送り
そして大きく一歩踏み出した
「スキル使わなきゃいいだけだ……だろ?アナミー……」
「……そうだなバロウ、元より4対1……有利に変わりは無い、そして油断は無い……認識を改めろ、強敵だ……まぐれ当たりが怖い、不慣れな混戦は避ける……エイゼルは少し下がり援護を……バンビ、退路を塞げ、可能ならフォローも頼む」
指示通りエイゼルが下がり背中に手を回し、バンビがヒコの背中と路地の間に
バロウと穴宮がヒコの斜め前に立ち塞がる
ヒコの左右への移動はエイゼルがスキルで塞ぐつもりなのだろう
前方は2人、逃げそうも無いが後方の路地へ飛び込ませないようバンビーノが邪魔をする
その後ろには銃を抜いたヴァネッサがいるとも知らずに
「悪いなメガネ、ガキだからって甘やかすとロクな事ねぇんだ最近……ここで終わりだ」
「その目でボクサーのパンチが避けれたら大したモンだ……ま、4人がかりで雀1匹に逃げられる様な奴には無理だな」
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