イカロス

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ボクサー その多彩な技と威力、スピードは立ち技格闘技では最高峰に位置している だが立ち技最強の格闘技を上げる時、ボクシングの位置はさほど高く無いのが現状である 組技が無い、投げ技が無い、蹴りが無い、寝技が無い ボクシングは格闘技では無い、スポーツの域を出ない不完全な戦闘技術だと だが、それでもボクサーの攻撃は速く、鋭く、多彩、そして他の格闘技を圧倒する反射神経、ボクサーの手が届く距離でヌルい蹴りを放とうものなら一瞬で殴られるだろう それはバロウも穴宮も警戒し迂闊に距離を潰すような真似はせず、バロウは刀の距離、穴宮はリベロに徹するつもりでバロウより半歩下がる 「ボクサーね……転がしちまえば何も出来ねぇだろ……銃持ってたら抜いた方が良いぞお前……もっとも、抜いた瞬間に斬る……」 頭の位置を低く、足のスタンスが広がり約半身、刀の柄に右手がギリギリの位置、あと2ミリで触れる場所、それがバロウの戦闘と通常の境界線 答える様にヒコが両拳を上げ肩ほどに足を開き、左拳は顎を半分隠し、右拳は握りが緩く、やや伸ばす、そして右足を前に 「転ばねぇからボクサーなんだよ……もう抜いてんのが見えねぇか?」 言葉の意味に気を取られぬようにヒコを観察するバロウ 銀のフレームの奥の鋭い目が微かに下がり、ピクリと肩が揺れ 「…………ッ!!バロウ!!」 バロウは知らなかったのだろう、だが穴宮は知っていた、ヒコの構えの意味を ただ穴宮がバロウを呼んだ時、認識できたのはバロウだけだが ヒコのガードが僅かに下がり握った左拳がパッと開いた瞬間、弾かれた様にバロウの顔が跳ね上がった
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