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「ガァッ!!…なっ!!……」
一瞬の混乱がバロウの体と頭を支配するが無意識に体が戦闘体勢を立て直す
顔面を殴られたのだがもはや痛みより驚きの方が圧倒的に大きい
距離感を間違う筈が無い、片目には既に慣れ距離感を間違う筈が無い
そして、真正面に立ちながら見えなかった、そんな経験は今まで一度もバロウには無い
「抜いてんだよとっくに……この距離ならトリガー引くより速ぇぞ俺は……抜けよ、居合いなんざその柄を握った手ごと打ち抜く」
「…………鳥肌モンだ……今日2度目の……お前がラスボスかよ、とんでもねぇぞこりゃ」
切れた唇からジワリと滲む血、しかしダメージも無いし視界にも以上は無い
問題はその速さに着いて行けない、そして目測だが拳が僅かに届かない距離だった筈
バロウの混乱、それはハイレベルのボクサーとの攻防を経験した事が皆無である事が原因だろう
完成されたスポーツだが格闘技としては不完全、それ故ラフレシアでボクシングに特化した者は少ない
小手先だけを会得し他の格闘技をベースにしてる者が圧倒的に多いのが実情だろう
今のヒコの攻撃、少し離れているエイゼルと穴宮にはとんでもなく速くはあるがジャブだと認識できた、だが顔が跳ね上がる程の威力だとは思えない、言わば手打ちの拳だと思えた
別にトリックがあるわけでは無い
これが真のボクサーの力でありテクニック、所詮スポーツと見限った者には辿り着けない領域だろう
「聞くがあのガキ……雀は着いて行けてんのか……そのスピード……普通じゃねぇぞ、確かに抜いてる、しかもトゥーハンドか」
「マジシャンが種明かしをすると思うか?……神経研ぎ澄ませよ、2つの銃口が狙ってるぜ」
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