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――
最近の朱雀は色々と近い。
会話の時や食事の時など私生活でも彼女との距離は間違いなく最初の頃よりも狭まっており、異性と会話するだけならともかく触れ合いには慣れていない鴉はいつもどぎまぎしている。
しかしどこかで彼女を受け入れていることも確かであり、今も拒むことなく甘んじて朱雀との時間を過ごしている。
「……今思えば凄い偶然だよな……」
「何がでございますか?」
「いや、朱雀と出会った頃のことを思い出してた」
「?」
「朱雀の実家は隣町にあるんだろ?だけどバカな男共に騙されて変な所に連れて行かれて、迷子になって一時間もさ迷ってここに来たんだろ?」
「よく覚えていらっしゃいますね?」
「そう考えたら、住んでるところが違うのに俺達よく出会えたなってふと思ったんだよ。だからこうして一緒にバーベキューしたり花火したりして……凄い偶然がいくつも重なって今こうしてるんだなって」
「……そうでございますね……」
人と人との出会いは大なり小なり『偶然』の積み重ねだ。
しかし繋がりすらなかった2人が出会った経緯を考えると、改めて『運』というものの大きさを感じられた。
あの時不良達が朱雀に声を掛けなかったら。
彼女の元へ導いた猫を助けなかったら。
そこまで考えた鴉の思考を遮るように、朱雀は肩に頭を乗せたまま語り掛けて来た。
「しかし、私は偶然とは思いません」
「ん?」
「恐らく、私と鴉様が出会うことは昔から決められた『必然』だったのでございます。きっと……私は鴉様と出会う為に生きて来たのでございます……」
「……そう、か……そうだな……」
「そうでございます。だって……」
ここでようやく朱雀は体を離し、鴉の正面に正座で腰を下ろして真っ直ぐこちらの顔を見つめて来た。
赤面したままにっこりと微笑み掛け、自らの胸にそっと手を当てて唇を震わせる。
「側にいてこんなに安心出来るお方との出会いを……『偶然』の一言で終わらせたくありませんから……」
――
「壁の配布が間に合わねぇwwしょうがねぇからシルドラも壁役として行って来いww」
「任せろ。さぁお前らの怒りをオレの尻にぶつけるがいい」
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