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――
もはやここが公共の場だということを2人は理解していない。
正面に座り見つめ合う両者は、外部からの情報を一切遮断していた。
今意識を向けるべき存在は、目の前にいる相手のみ。
手を伸ばせば届く距離を決して詰めることも遠ざけることもなく、鴉は恥を投げ捨てて朱雀へと懇願に近い疑問を問い掛けた。
「……俺達どれだけ一緒にいられるんだろうな……」
「鴉様が望むのなら、ずっと一緒でございます」
「ずっとか?」
「えぇ……ずっと……」
永遠の魔法。
その呪文を鴉は知っているし、朱雀も待ち望んでいる。
たった一言『あの言葉』を言えば叶うと分かっているのに、鴉は次の言葉が出て来ない。
言い淀んでなかなか切り出すことが出来ない鴉だが、朱雀はそれでも彼を急かすことなく再び隣に位置を移した。
「焦らなくても大丈夫でございます」
「朱雀……だけど……」
「私はずっとずっと鴉様のお言葉を待っております」
今度は肩に頭を乗せるだけで終わらず、鴉の腕を胸へと抱き締め更に体を密着させる。
自分はここにいる。
ずっとずっとここにいる。
言葉に出さなくとも、彼に伝わるように強く腕を抱き締める。
「先程も申し上げましたように、私は鴉様が望むのならばずっと側にいます」
「…………」
「ですから、鴉様はご自身の決心が付いた時で結構でございますよ?」
「……悪いな……」
「いいえ、でも……早めにお願い致しますよ?」
ぐっちゃんの言う『想い出作り』。
こちらの2人はしっかりと名目通り今日という1日を、その胸に刻み込んだことだろう。
――
「やべぇww遂に配布する壁が切れたww」
「問題ない。非リア充の憤怒パワーをこの身で全て受け止めてくれるわ。全裸で」
「バーローwwこんな時は裸包帯だろうがww」
「お前天才か」
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