0人が本棚に入れています
本棚に追加
「雅さんは、お腹が空いて死にそうだよ」
「………」
無視された。
揺れるバス。酔いそうだ。既に酔っている。吐きそうだ。
窓から見える景色は、ビルやお洒落な飲食店から、どんどんと木や用水、川などに変わってきた。
「月妃君よ、君は私のことをどう思っている?」
なぜか急に、そんな質問を投げ掛けてしまった。
「………どう、って…。尊敬してますよ」
驚きつつも、月妃君は真面目に応えてくれた。
優しい子だ。
「そうか…。尊敬か…。良いね!私は嬉しいよ」
笑うと、月妃君は不思議そうな顔をして、呆れたように笑った。
***
しばらくして、バスが停車した。
古びたホテルの前だ。
最初のコメントを投稿しよう!