銀色の羽を飛ばして

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屈んでいたからか、飛ばされることなく倒れるお婆さん。あかん、頭から血が出てる。 走り去ろうとするトラック。必死に止めようと声を張り上げるが、聞きやしない。 このあたりの細い通りは大抵一方通行になっている。しかしこの通りだけはそうではないのだ。だからよく前にある国道の抜け道として使われるのだ。 トラックのナンバーを携帯でメモしつつ、お婆さんに駆け寄る。声をかけるが、返事はない。 そうだ、110番しなければ────。 お婆さんを安全なところまで運んで、震えた指で番号を押す。 「ひき逃げがあったんですけどっ」
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