梅の舞い

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ふと後ろから騒ぐ声が聞こえた。もう大学生の新歓コンパの季節?でもまだ三月じゃない。 後ろを振り向けば女子が、いやおばさんもいるけど、何かに集(たか)ってきゃーきゃーと騒いでいる。 何?芸能人でもいるの?でもそれよりも私は温かいチャイを飲みたい。私が好きな芸能人なら見てみたいけど、今更幻想を崩したくないし、いいわ。 背中に刺さる黄色い歓声の破片が鬱陶しくて、私は思い切り砂利を踏んで足早に歩く。五月蝿いなぁ、私は優雅に歩こうとしていたのに。 「龍川さんっ」 あら、空耳かしら。何故か私の名字が聞こえてきたわ。おかしいわよねぇ、だってここに知り合いは居ませんもの。 振り向いてもいいけれど、私の勘違いだったら自意識過剰だって思われたくないもの、てか思いたくないし。 空耳よ空耳。それよりも早くあのシナモンの香りに包まれながら、先程の感動をじっくり堪能したいわ。 さぁ、そこで暢気に水遊びする鷺さんもいらっしゃい。皆でお茶にしましょうよ。スコーンだってあるわよ。
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