37人が本棚に入れています
本棚に追加
ヴーと携帯のバイブが震えた。ディスプレイには「自宅」の文字。
はいはい、早く帰りますわよ。いいじゃない今日ぐらい稽古をさぼったって。半年に一度の趣味だったのだから。
通話ボタンを押して耳をつける。真っ先に聞こえてきたのは母親の怒声だった。
今何時か解っているの!先生を待たせて、あんた何やってるんよ!私に恥をかかせないでちょうだい!今日は生け花教室でしょう!
そうですね、私が悪ぅございました。今後は一切致しません。では急いでいるので。
母の声を待たずに電話を切る。そしてそのまま電源も。
何よ、せっかく人が気持ちよく歩いてるっていうのに、どいつもこいつも邪魔をするんだから。
こうなったら意地でもチャイを飲んでゆっくり帰ってやる。
最初のコメントを投稿しよう!