高校3年の夏

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その言葉を思い出した瞬間、嫌な予感がした。 あいつ…ヤバいんじゃねーか? バス停の外、土砂降りの雨が俺の不安を煽ってくる。 俺は降りしきる雨の中、全力で走って学校へ戻った。 …ボタ…ボタ 学校に着いた頃には全身ずぶ濡れだった。 上履きを履く気になれず、グチョグチョに濡れた靴下を脱いで裸足になり、ズボンの裾を折り曲げた。 ペタペタと歩くたびに足音がする。 校舎の中は部活の奴ら以外は誰も居なくて、暗い雨雲のせいで薄暗くなっていた。 教室に着き、ガラリとドアを開ける。 ……誰もいない。 此処じゃないのか? こめかみをポリポリと掻いて、他の場所を考える。 …ん~、思い当たる所がない。 とりあえず他の教室も見て回ろうと思い、そのままドアを閉めて廊下を歩き出す。 「…?」 なんか違和感を感じて足を止める。 …さっき、前の方の机…、ちょっと乱れてなかったか?
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