高校3年の夏

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俺はハッと我に返り、山瀬を見ると鼻血を出して白目をむいていた。 ヤバい…死んだ? 立ち上がって槙野さんの方を見ると、彼女は震えながら俺を見ていた。 「…ごめん。」 俺は槙野さんに怖がらせてしまったことを謝った。 彼女は泣きながら頭を横に振った。 「帰ろう。送るから…」 そう言ったが、槙野さんは動こうとしない。 「どうした?」 俺が聞くと、 「足が震えてうまく歩けない…。ハハ。」 と、無理に笑顔を作る。 俺は槙野さんのバッグを手に取り、もう片方の手で彼女の手を握った。 「ほら、帰ろう。」 そう促すと、ゆっくりと彼女も歩き出した。
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