高校3年の夏

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手を繋いだまま廊下を歩いたが、靴箱までくると自然と離れた。 俺は裸足のままシューズを履く。 グチョっと気持ち悪い感触がする。 外はもう雨が止んでいた。 「…藤崎くん。すごい濡れてるね。」 靴を履きかえた槙野さんが俺の所にくる。 まだ前髪からポタポタと水が落ちてくる。 槙野さんは自分のバッグからタオルを取り出すと、俺に差し出す。 「いいよ。タオルが濡れるから。」 俺がそう言うと、 「濡れたものを拭くためにタオルがあるの!」 と無理やり渡された。 …確かにそうだ。
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