高校3年の夏

19/37
前へ
/113ページ
次へ
しばらくすると、槙野さんがお盆に何か載せてリビングに来た。 小さいテーブルの上にお盆を置く。 …うわぁ、美味そう。 俺は急にお腹がすいてきた。 お盆からお皿をテーブルに移していく槙野さん。 豚肉とピーマンの炒め物・野菜スープ・白いご飯…。 「はい、どうぞ。」 「え?食っていいの?」 「…あ、嫌いなものある?」 「全然!!」 俺はひたすらがっついた。 …終始無言で。笑 全部食べた後に満足して「フー」とため息をついた。 前を見ると槙野さんがお盆を握りしめてジッとこちらを見ている。 「…ん?」 「…いや、その…おいしかったかな?と思って…。」 自信なさげに聞いてくる。 「え?かなり美味いよ。」 「ほんと??」 槙野さんの顔が途端に笑顔になる。目はまだ少し腫れてるけど…。 「ほんと。昨日のカレーも美味かった。」 「全部食べれた?」 「いや…、親父と食べたから。親父も『美味かった』って。」 「よかった~」 槙野さんは安心したように小さくため息をついた。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加