高校3年の夏

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しばらくそんな感じで雑談をしていた。 二人でテレビを見ていると、いつの間にか俺は眠っていた。 …カチャ…ザー…カチャ… ふと目を覚ますと、テレビがついたままで、テーブルの上は綺麗に片づけられていた。 キッチンから食器を洗う音がする。 「うわぁ、この状況でさえ眠れる俺…。」 頭を掻きながら部屋の壁にある時計に目をやった。 …9時半。 おいおい、寝すぎたぞ。 俺は急いで起き上りバッグをからってキッチンへ行く。 「あ、起きた?」 食器を洗い終えて手を拭きながら槙野さんが聞いてくる。 「わりぃ、寝てた。もう帰るわ。」 俺は彼女のうしろを通って玄関へ向かい、靴を履いてドアを開ける。 「あの…」 槙野さんの声に振り返った。 「あの…、今日は色々とありがとう。おやすみなさい。」 そう言ってドアが閉まった。
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